春の仕事−1 〜摘擂、芽剪定作業〜

 

植物にとって、花を咲かせると言うのは、一大イベント。昨シーズンに蓄えたエネルギーをたくさん使って、子孫を残すべく、美しい花を咲かせるのです。でも、梨農家としては、せっかくのエネルギーを無駄に消費されても困ります。咲かせる花は最小限とし、エネルギーの消費を抑え、その後の、美味しい果実への成長を助けてやるのが、ここでの仕事 "摘蕾(てきらい)と芽剪定" です。

 

3月も後半となってくると、暖かな陽気に歩調を合わせ、固く締まっていた芽(左写真)が動き始めて来ます。芽が膨らむと、内側に隠れていた部分が表に出て来て、茶色とクリーム色の、ちょっとした幾何学模様が作り出されます(右写真)。

 

 

そして、4月に入ると、ついに、つぼみなるものが顔を出して来ます(左写真)。

 

 

梨は、およそ10個ほどの花が集まり、1つの花房を形成しています。また、ここでは、4つの花房が集まっています(枝の反対側に、もう1つの花房が見えています)。最終的に、この辺りで1つの果実を成らせるだけになりますので、4つも花房があって、全ての花を咲かせてしまうのは、エネルギーの無駄遣いとなります。そこで、左から2番目の花をチョキン(芽剪定)と、一番右の花をポンポンとたたいて蕾を落とします(摘蕾)。この時期の蕾は、花柄が大変もろく、ちょっと触れるとすぐに折れてしまいます。逆を言うと、気を付けて作業しないと、残すべき花房も落としてしまうこともあります。なお、残す花房は、1つでも良いのですが、保険の意味を含めて、2つ残しました。いずれは、摘果作業の段階で、良さそうな果実が選抜されることに成ります。

 

 

こちらは、南水の枝先で、昨年の夏に伸びた部分(2年枝)になります。

 

 

ここにも、りっぱな花芽が形成されているのですが(左写真)、南水の2年枝には良い果実が成らないと言うことなので、残念ですが、摘蕾しました(右写真)。でも、悲しいかな農家の欲、とても良い位置にある花芽だけ、期待を込めて、残してしまいました。

 

これで、花を咲かせる準備が整いました!!

 

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